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2010年2月21日 (日)

雪の降る空を見上げると。

雪が降るのではない。雪片に満たされた宇宙を、ぼくを乗せたこの
世界の方が上へ上へと昇っているのだ。静かに、滑らかに、着実に、
世界は上昇を続けていた。ぼくはその世界の真中に置かれた岩に坐
っていた。岩が昇り、海の全部が、厖大な量の水のすべてが、波一
つ立てずに昇り、それを見るぼくが昇っている。雪はその限りない
上昇の指標でしかなかった。
池澤夏樹『スティルライフ』より
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ビルの窓から雪が降ってくるのを見ていたとき、雪が昇ってくる
感覚におそわれたことがあった。
自分の置かれている位置が心もとなくなり、軽い目眩のような
感覚だった。
雪がしんしんと降ってくると、降る雪を見上げて、いつもこの言葉
を思い出す。
雪は降るのではない。私たちが昇っているのだ、と。
雪の降る白い世界では、なにか不思議な感覚になる。

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